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個人事業主でも知っておきたい! 源泉徴収の仕組みと税金の計算方法
個人事業主でも知っておきたい!
源泉徴収の仕組みと税金の計算方法
近年、個人事業主の副業や起業が注目されるようになり、様々な業種で個人事業主が活躍しています。しかし、個人事業主にも税金のルールがあり、その中でも源泉徴収については、混乱することが多いようです。
本記事では、個人事業主が源泉徴収に関する基礎や源泉徴収される金額の計算方法について解説します。
【目次】
1.個人事業主でも源泉徴収は必要なのか
1.1 そもそも源泉徴収とは
1.2 個人事業主でも源泉徴収が必要な業務がある
1.3 従業員を雇用して給与を支払っている個人事業主は源泉徴収義務者
2.個人事業主が源泉徴収する際の注意点
2.1 確定申告で源泉徴収の還付申告をする
2.2 請求書作成時に消費税を別にしておく
3.源泉徴収される金額の計算方法
3.1 支払う報酬金額が100万円以下の場合(源泉徴収税額=報酬額×10.21%)
3.2 支払う報酬金額が100万円を超える場合(源泉徴収税額=(報酬額-100万円)×20.42%+10万2,100円)
4.まとめ
1.個人事業主でも源泉徴収は必要なのか
個人事業主でも源泉徴収が必要な場合、そして源泉徴収義務者となる場合があります。
1.1 そもそも源泉徴収とは
源泉徴収とは、源泉となる所得者から税金を差し引いて納税する仕組みのことです。例えば、会社員の給与においては、会社が源泉徴収を行い、給与支払い時に税金を差し引いて納税しています。源泉徴収は、税金を徴収することで納税義務を果たすための手段として、税務署によって導入された制度です。
1.2 個人事業主でも源泉徴収が必要な業務がある
一般的に、個人事業主は源泉徴収の対象外であると考えられがちですが、実際には、個人事業主でも源泉徴収の対象となる業務が存在します。国税庁の「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」によると、源泉徴収の対象となる報酬・料金は主に以下のとおりです。
- 原稿料や講演料など
- 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格をもつ人に払う報酬・料金
- 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- プロ野球選手、プロサッカー選手、プロテニス選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- 映画、演劇、その他芸能、テレビジョン放送等の出演の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- バンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
1.3 従業員を雇用して給与を支払っている個人事業主は源泉徴収義務者
従業員を雇用する場合、給与を支払うだけでなく、源泉徴収票の発行や税金の納付など、税務手続きを行う必要があります。また、年末調整という手続きもあり、従業員から所得税や住民税の還付申請を受け付けることにより、年末に調整を行います。これによって、従業員が払い過ぎた税金を還付することができます。
個人事業主が源泉徴収の手続きを行う場合、申告書類の提出や納税の期限など、注意点があります。また、源泉徴収税額が少ない場合でも、納税の義務があるため、税金の計算や支払い方法については、専門家に相談することをおすすめします。
源泉徴収に関する手続きは、個人事業主にとっては煩雑なものかもしれませんが、適切な手続きを行うことで、税務署とのトラブルを回避することができます。また、適切な手続きを行うことで、従業員との信頼関係を構築することができ、事業の安定的な発展につながることもあります。
2.個人事業主が源泉徴収する際の注意点
前節では、個人事業主でも源泉徴収が必要な業務があることを説明しました。今回は、個人事業主が源泉徴収する際の注意点について詳しく解説します。
2.1 確定申告で源泉徴収の還付申告をする
源泉徴収された金額に対する還付申告は、年末調整によって還付された場合と異なり、確定申告によって行う必要があります。源泉徴収票などの証明書類を取得し、確定申告書に申告することで、過払い分の還付を受けることができます。
ただし、還付を受けるためには、確定申告書類の提出期限を守る必要があります。また、申告漏れや申告漏れの修正、税金の不正受給など、税務署からの指摘に備え、源泉徴収票や支払い証明書などの書類は、確実に保管しておく必要があります。
2.2 請求書作成時に消費税を別にしておく
個人事業主が取引先に対して請求書を作成する際には、消費税を含めた金額を記載する必要があります。ただし、源泉徴収を行う場合には、請求書の金額に対して源泉徴収税額を差し引いた金額を支払うことになります。
そのため、請求書の作成時には、消費税を別途記載することをおすすめします。消費税を含めた金額を記載すると、源泉徴収税額を差し引いた金額が分かりにくくなり、請求書の金額と実際に支払う金額が一致しなくなる可能性があります。
また、源泉徴収税額は、支払い時に差し引いて支払うことができるため、請求書の金額に源泉徴収税額を加算する必要はありません。そのため、請求書の作成時には、源泉徴収税額を含めた金額を記載ることは避けるようにしましょう。
3.源泉徴収される金額の計算方法
源泉徴収税額は、支払う報酬金額によって異なります。個人事業主が源泉徴収する場合には、以下のように計算されます。
3.1 支払う報酬金額が100万円以下の場合
支払う報酬金額が100万円以下の場合は、源泉徴収税額は報酬額の10.21%となります。例えば、支払う報酬が50万円の場合、源泉徴収税額は50万円×10.21%=51,050円となります。
3.2 支払う報酬金額が100万円を超える場合
支払う報酬金額が100万円を超える場合は、源泉徴収税額は以下の式で計算されます。
源泉徴収税額=(報酬額-100万円)×20.42%+10万2,100円
例えば、支払う報酬が150万円の場合、源泉徴収税額は(150万円-100万円)×20.42%+10万2,100円=25,350円となります。
4.まとめ
個人事業主は所得税や住民税の納税者であるため、源泉徴収を行う義務があります。特に、従業員を雇用して給与を支払う場合には、源泉徴収義務者となります。
源泉徴収税額は、支払う報酬金額によって異なります。報酬額が100万円以下の場合は、源泉徴収税額は報酬額の10.21%となります。報酬額が100万円を超える場合は、以下の式で計算される源泉徴収税額を支払う必要があります。
源泉徴収税額=(報酬額-100万円)×20.42%+10万2,100円
最後に、個人事業主が源泉徴収について理解し、適切に行うことは、納税者としての責任や信頼性を高めることにつながります。自分自身が納税者としての責務を果たすとともに、健全なビジネス環境の実現に貢献することが、個人事業主としての社会的責任でもあります。