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家族を雇用して節税効果を得る方法と注意点を解説
家族を雇用して節税効果を得る方法と注意点を解説
個人事業主は家族で経営を行うことが多く、家族に給与を支払うケースもあります。もし家族の給与を経費にできれば節税になりますが、原則生計を一にする家族への給与は経費になりません。ただし、条件を満たすことで、家族への給与を経費にすることができます。
本記事では、家族を雇用して節税効果を得る方法について解説します。
【目次】
1.個人事業主が家族を雇うことは節税になる?
1.1 所得を分散させて節税効果がある
1.2 ただし給与を経費にすることはできない
2.家族への給与を経費する方法
2.1 青色事業専従者給与にする
2.2 家族への給与が経費となる3つの要件
3.家族を従業員にするための手続き(青色事業専従者給与に関する届出書を税務署へ提出)
4.まとめ
1.個人事業主が家族を雇うことは節税になる?
個人事業主が家族を雇うことは、節税になると言われています。しかし、実際にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
1.1 所得を分散させて節税効果がある
個人事業主が家族を雇う最大のメリットは、所得を分散させることで節税効果があることです。例えば、個人事業主が年収1000万円であるとします。この場合、所得税率は最高税率で約45%になります。しかし、個人事業主が妻や子供を雇用し、給与を支払うことで、所得を分散させることができます。
例えば、妻に年収300万円、子供に年収200万円を支払う場合、個人事業主の年収は500万円に減少します。この場合、所得税率は約20%になります。つまり、所得税の負担が大幅に軽減されることになります。
1.2 ただし給与を経費にすることはできない
個人事業主が家族を雇うことで節税効果があることは事実ですが、給与を経費にすることはできません。つまり、妻や子供に高額な給与を支払うことで、自分自身の所得を減らすことができません。
また、家族に給与を支払う場合、給与水準が適正かどうかを考慮する必要があります。適正な給与でない場合、非常に高額な給与を支払ったとしても、税務署から「所得の水増し」と見なされ、節税効果を得られない場合があります。
2.家族への給与を経費する方法
個人事業主が家族を雇うことでその節税効果を得るために、条件を満たすことで家族の給与を経費にすることができます。どのような方法で行うのか解説します。
2.1 青色事業専従者給与にする
個人事業主が家族を雇用し、給与を支払う場合、家族への給与が経費になるためには、青色事業専従者給与として認められる必要があります。青色事業専従者とは、個人事業主が経営する事業において、家族が専従して働くことを指します。
青色事業専従者給与には、次のような特典があります。
- 所得控除が受けられる
- 法定労働時間や最低賃金の適用外
- 法定福利厚生費の一部を非課税化できる
2.2 家族への給与が経費となる3つの要件
家族への給与が経費となる条件としては、国税庁の「青色事業専従者給与と事業専従者控除」( https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htm )に3つの要件があることが記載されています。
3つの要件は以下の通りです。
- 「青色事業専従者給与に関する届出書」を期限内に納税地の税務署に提出していること(提出期限は、適用を受けようとする年の3月15日まで。ただし、その年の1月16日以降に新たに事業を開始した場合や新しく専従者がいることになった場合は、その日から2ヵ月以内の提出で可)
- 届出書に記載されている方法、金額の範囲内で給与が支払われていること
- 給与が労務の対価として相当な金額であること
この3つの条件を満たさなければ、家族への給与を経費とすることはできませんので注意しましょう。
3.家族を従業員にするための手続き
青色事業専従者給与を適用するためには、届出書を税務署に提出する必要があります。届出書には、以下の内容が含まれます。
- 専従者の氏名や生年月日、続柄
- 専従者との契約内容
- 専従者の業務内容と報酬額
- 専従者が従業員として保険に加入する場合、保険料の支払い方法
届出書は、原則として、専従者を雇用した翌月の末日までに提出する必要があります。また、届出書の提出には、専従者の署名捺印が必要です。
届出書を提出することで、青色事業専従者給与を適用することができます。ただし、適用される範囲は、提出された届出書に記載された内容に限られます。
4.まとめ
今回の記事では、個人事業主が家族を雇用することで節税効果があること、そして家族への給与を経費とするための手続きについて解説してきました。
家族を雇用することで、所得を分散させて節税効果を得ることができますが、給与を経費とするためには青色事業専従者給与に適用される必要があります。また、家族への報酬が経費として認められるためには、業務上必要であること、報酬が適正であること、支払いが現実的であることが求められます。
届出書の提出には、専従者の署名捺印が必要です。届出書を提出することで、青色事業専従者給与を適用することができますが、提出された届出書に記載された内容に限られます。
家族を雇用する場合は、適切な範囲で節税効果を得るために、必要な手続きを行うことが重要です。