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鍵屋に必要な道具とは? 必須のピッキング道具について解説
鍵屋に必要な道具とは?
必須のピッキング道具について解説
職人的な要素の強い鍵屋は独立開業のハードルも低くなっているため、独立をして個人事業主として働く人も非常に多い仕事となっています。ただし、顧客に安心して依頼をしてもらうためには、プロとしての知識や技術が必要となります。
鍵屋の知識や技術の1つとして必要となるのが、道具に関してです。鍵屋は専用の道具を使って鍵開けや修理に対応をします。どのような道具が必要なのか理解していないと顧客の対応も行うことができません。
本記事では、鍵屋が使うピッキング道具についてやピッキングツールでどのように解錠するかなどについて解説します。
【目次】
1.鍵屋が使うピッキング道具とは
1.1 鍵を使わず錠前を開ける道具
1.2 鍵屋になるには専門的な道具が必要
1.3 一般人のピッキング道具の所持は法律で禁止
2.ピッキング道具でどのように解錠するのか
2.1 ピンシリンダー
2.2 タンブラー錠
3.顧客から鍵開けの依頼を受けるためには
3.1 技術を高める努力をする
3.2 きちんと素性を明確にする
3.3 民間のスクールや研修に参加する
4.まとめ
1.鍵屋が使うピッキング道具とは
鍵屋はさまざまな道具を使って鍵開けに挑みますが、その中でも中心となるのがピッキングツールと呼ばれる道具です。まずはピッキング道具について解説します。
1.1 鍵を使わず錠前を開ける道具
鍵を開けるには、通常鍵穴に対応した鍵を差し、それらがかみ合うことで解錠を行うことができます。錠前に差し込んだ鍵の形をピンによって読み取り、あらかじめ設定された形に合うことで鍵穴が回り、ロックが外れる仕組みになっています。そのため、本来鍵がなければその錠を開けることはできません。
しかし、ピッキング道具を使うと、鍵を使わず錠前を開けることができます。ピッキング道具を駆使して「錠前の対応部分を押さえることで、鍵穴が回る」という鍵の性質を利用することで、鍵がなくても錠前を開けることが可能なのです。
1.2 鍵屋になるには専門的な道具が必要
鍵を使わず錠前を開けることができるピッキング道具ですが、鍵屋になるにはこの専門的な道具が必要となります。顧客から、「急遽鍵が開かなくなった」という依頼を受けたら、現場に向かい、道具を駆使して解錠の対応をする必要があるためです。ピッキング道具には複数の種類があり、鍵によって使い分けます。鍵の内部はメーカーや品番ごとに異なるほか、簡単には開けられない工夫がされています。この工夫を克服するため、ピッキングツールは先端の形が異なる複数のものを使い分けるのです。
シンプルな鍵の場合、業者は鍵の形状に応じた種類のピックを使用して、開錠をおこないます。また、ピックとともに使用されることが多いのが、シリンダーの内部や回転部分に力を加えて解錠をおこなう、テンションと呼ばれる道具です。また、金庫などのダイヤル式の鍵を開ける際は、自動でダイヤルを回して正解のパターンを見つけ出す、オートダイヤラーという道具を用いることもあります。
1.3 一般人のピッキング道具の所持は法律で禁止
ピッキング道具は鍵の急なトラブルや鍵開けの道具として非常に便利です。しかし、鍵屋になる前に自分で所持していると、法律違反で罪に問われる可能性があります。
警察が主体となって基準を定めた「特殊開錠用具の所持の禁止等に関する法律」が2003年に制定されました。通称「ピッキング禁止法」と呼ばれる法律で、鍵を開ける道具についての所持制限を明確に定めています。鍵屋がピッキングに使う専用の道具はもちろん、鍵を開けるのに利用できうる一般的な工具に関しても、この法律によって所持が制限されるようになりました。
本来ピッキングの技術は、紛失の際の鍵開けや急な鍵のトラブル時に使われるものですが、その技術が空き巣など悪意目的に利用され、私たちの生活に被害を与えるようになってきました。この状況を是正するため、ピッキング技術を適切に管理し悪用されないようピッキング禁止法が定められたのです。
通称の「ピッキング禁止法」という名前を聞くと「ピッキングを行ってはいけないのか」と勘違いしがちですが、これはピッキングという鍵開け行為自体を規制するものではありません。鍵屋の業務などをおこなっている人間以外が、正当な理由なしにこの法律に抵触する道具を持っていると、「1年以下の懲役」もしくは「50万円以下の罰金」を科せられてしまいます。また正当な理由を持たない人へのピッキング道具の販売にも罰則が設けられているため、ピッキング道具の販売店では身分証の確認、必要に応じて開業届などの確認などが行われています。
2.ピッキング道具でどのように解錠するのか
鍵には種類ごとにそれぞれ特徴があり、ピッキング道具を使い分けていく必要があります。ここからは、具体的にピッキング道具でどのように解錠するのか解説します。
2.1 ピンシリンダー
錠前の内部にはピンと呼ばれる、鍵の形状に合わせて上下する部品が多く組み込まれています。このピンは外側から内側に押し付けられており、鍵が入ることによって形状に合わせて上下します。また、ピンには切れ目があり、一致する鍵であればその長さが内側の筒部分と同じになるのです。そして、全てのピンの長さと鍵の形状が一致し、内側の筒と外側を固定するピンがなくなると鍵穴が回ります。ピッキング道具は内部のピンを調節し、ピン合わせをするために使われます。
2.2 タンブラー錠
同じ鍵の形状を読み取る部品でも、棒状のもの以外は一般的に「タンブラー」と呼ばれます。鍵を差し込む穴が開いているものはディスクタンブラーとも呼ばれ、鍵の形状に合わせてタンブラー部分が上下するようになっており、正しい鍵を差し込むとすべてのタンブラーが内側に収まって鍵穴が回る仕組みとなっています。出っ張っているもの、引っ込んでいるものをピッキング道具で調節すること解錠することが可能です。
3.顧客から鍵開けの依頼を受けるためには
必ず必要な資格などはなく、やる気さえあれば仕事を行うことができる鍵屋ですが、簡単に開業できるからと言って簡単な仕事という訳ではありません。顧客から信頼されて鍵開けの依頼を受けるためにはポイントをおさえておく必要があります。ここからは顧客から鍵開けの依頼を受けるためのポイントについて解説します。
3.1 技術を高める努力をする
鍵屋としてきちんとお客様のお役に立っていくには、専門的な知識と技術が必要とされます。個人で鍵屋として働いていく中で、鍵の仕組みや作成方法など様々な知識・技術を身に付けなければいけません。お客様が鍵屋に求めることは、信頼できる知識や技術です。「一通り必要な技術は身に着けたから大丈夫」という考えではなく、より顧客に満足していただけるための技術を身に着けていく努力をしましょう。
3.2 きちんと素性を明確にする
鍵開けのサービスは困っている顧客に対して便利なものですが、一歩間違えれば犯罪にも利用できる技術です。そのため、顧客に安心して依頼してもらうためにも、鍵開けの依頼を受ける時はきちんと自分の素性を明らかにする必要があります。名刺や企業名の分かるものを顧客に渡し、正しくサービス提供を行っている鍵屋だということを伝えましょう。また、ピッキングを行う際は、どのように解錠していくのか報告を行うことも重要です。
3.3 民間のスクールや研修に参加する
鍵屋として顧客に満足していただけるための技術を身に着けていくために、民間のスクールや研修に参加するようにしましょう。独学も良いですが、研修などに参加して自分が知らないことや技術を身に付けるのは非常におすすめです。民間のスクールや研修を利用するのはお金がかかりますが、その分一生使える知識や技術を身に着けることができます。
4.まとめ
本記事では、鍵屋が使うピッキング道具についてやピッキング道具でどのように解錠するかなどについて解説しました。鍵を使わず錠前を開けることができるピッキング道具ですが、鍵屋になるにはこの専門的な道具が必要となります。ピッキング道具は鍵のトラブルに対応できる道具ですが、一歩間違えれば犯罪にもつながる道具です。使い方や法律に関して知識を深め、顧客に安心を与えられる鍵屋として活躍しましょう。